アクリル

アクリルの歴史 / アクリル繊維の特徴 / 利用用途 / 呼び方(デニール) / 製造方法 / 染色に関する事項

アクリル繊維の歴史

アクリルの主原料はアクリロニトリルという石油から作られるもので19世紀末に発見されました。これを繊維化に成功したのは1944年、日本では1956年~1959年にかけてポリエステルと相前後して工業生産されるようになりました。

アクリルはウールや綿、シルクなどより比重が1.14~1.17と軽い繊維です。ふっくらとした感触と適度の保湿性を持っており染色堅牢度が非常に良いので他の繊維と混紡して鮮やかな色彩織物や編物を容易に作ることが出来ます。

合成繊維の中では最も羊毛に似て、柔らかく、暖かみのある肌触りの繊維です。

難燃繊維などでアクリル系繊維と呼ばれているものがありますが、これはアクリルではありません。

 

アクリル繊維の特徴

強度が強い
ウールなどよりもはるかに強く、摩擦や引っ張りに対しても耐久性を発揮します。

耐光性に優れている
他の合成繊維と比べると耐光性に非常に優れている。

染色性堅牢度が非常に良い
他の繊維と混紡して鮮やかな色彩を出せる。

繊維自体の抵抗力が強い
油類、カビ、虫、細菌などに影響されず、耐薬品性がよい。

耐熱性が低い
ナイロン、ポリエステルと同様に熱により軟化・溶融するため、これを利用して熱セットするこで伸び縮みや型崩れ、ゆがみなどを避けることが出来ます。

吸湿性が低い
吸湿性が低いので濡れても乾きやすい。

 

利用用途

ジャージ、セーター、靴下などのニット製品、服地、毛布、ぬいぐるみ玩具などに利用されています。

発色性、耐光性が優れているのでカーテン、カーペットなどの室内装飾材にも使われます。

 

呼び方(デニール)

アクリル(フィラメント糸)は0.05gで長さが450メートルあるものを1デニールとする。

デニールは、アクリルのほか、化合繊フィラメント(合成繊維全般)で使用されている。

フィラメント糸の定義として、連続した長い繊維(フィラメント)からなる糸で、太さが均一、毛羽立ちが少なく、平滑で光沢があり、ふくらみが少なく、冷たい感触となっている。

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製造方法

アクリル

アクリルはラジカル開始剤を使って連鎖反応を起こして重付加反応により高分子を合成します。

合成された鎖状高分子は紡糸工程で繊維になります。

繊維の断面形状は紡糸ノズルの形でほぼ決まり、太さは紡糸ノズルの直径と延伸工程で決まります。

紡糸工程では、繊維の光沢を調整するため、酸化チタンなどの白色顔料を加えたり、抗菌剤、制電剤、難燃剤などを加え、種々の機能性を与えることもあります。

アクリル系繊維

アクリロニトリル単位を35%以上85%未満含む線状高分子で塩化ビニル又は塩化ビニリデンなどとの共重合繊維です。

力学的性質はアクリル繊維とほぼ同じですが、塩化ビニルなどのハロゲン含有モノマーとの共重合であるため比重が大きく、軟化点は低くなります。

難燃性であることが最大の特徴で、公共施設などのカーテン、カーペットなどの室内装飾材として使われています。

 

染色に関する事項

アクリル繊維は繊維末端にスルホン酸基など結合に関わる基のイオン性が負ですので、染料のイオン性は正のもの(カチオン)を用いて染色します。

アクリル用染料をカチオン染料と呼びます。(カチオン染料は、酸性染料とイオン性が反対)

一般に用いられる染料

  • カチオン
  • 塩基性
  • 分散