麻の歴史 / 麻の構造 / 麻の特徴 / 利用用途 / 呼び方(番手) / 製造方法 / 染色に関する事項

麻の歴史

人類が作った初めての織物は、紀元前5000年、古代エジプト時代の「亜麻(あま)」を使用したものだとされています。

日本では、「大麻(たいま)」、「苧麻(ちょま・糸や織物にしたものをラミーという)」、「尋麻 (じんま・イラクサ)」 が神代の時代から使われていたとされています。

「麻」とは実は、長くて強い繊維が取れる植物の総称です。世界には、20種類以上の特徴の異なる麻があります。

衣料用として多く利用されているのが、「苧麻(ちょま・ラミー)」と「亜麻(あま・リネン)」 です。

「東洋の麻」といわれる苧麻(ちょま・ラミー)は、イラクサ科に属する多年生の濯木で、地下茎の繁殖が非常に旺盛です。高温多湿を好み、特に日光が好きな植物です。

麻は、天然繊維のなかでもっとも涼しい繊維といわれ、温度や湿度の高い季節に適した植物繊維素材です。

衣料用繊維として「麻」と品質表示できるものは、苧麻・ラミー(Ramie)と亜麻・リネン(Linen)の2種類です。

麻は、多くの魅力を持っていますが、綿やウール、化学繊維に比べ、極端にクセの強い性質を有しています。

麻製品を着こうなそうとするなら、ジーンズのインディゴブルーが自然脱色し、それがまた魅力と思えるのと同じ感覚で着こなすことが重要。麻の特性を良く理解し、その特性を魅力としていかして使用することが望ましいと思われます。

麻の構造

苧麻(ラミー)ちょま 亜麻(リネン)あま
主産地 南方系

ブラジル、フィリピン、
中国、東南アジア

北方系

ベルギー、ポーランド、チェコ、
スロバキア、ロシア、フランス

植物と繊維断面 多年草
草丈が長い
繊維断面が長細い
一年草
草丈が短い
繊維断面がラミーより丸い
繊維の長さ・太さ 長く、太く、硬い
天然繊維のなかで、もっとも強力
(羊毛の4倍、綿の2倍)
短く、細く、やわらかい
色合い他 白色
絹のようなしっとりとした光沢をもつ
亜麻色
風合い シャリ感、コシがある ソフト、しなやか
外 観
断面構造
麻断面

麻の特性

水分の吸収性が良い
水分の吸湿性・発熱性がもっとも早い。

涼感がある
熱伝導率に優れているので発散性に優れている。

腰があり丈夫
強度が強く、水に濡れても問題無く使用出来る。(逆に強度がUPする)

折れジワがつく
弾性が乏しいため通常の繊維よりシワになりやすい。

光沢があり、シャリ感が強い
繊維自体が硬いため、触った感触がシャリシャリしている。

利用用途


苧麻(ラミー)

吸水性、放湿性、発散性、通気性にすぐれ、さわやかな清涼感があり、ブラウス、スーツジャケットなどの衣料用、寝装用、資材用として使われる。

亜麻(リネン)

吸水性、放湿性、発散性、通気性、清涼感にすぐれていおり、ブラウス、スーツ、ジャケットなどの衣料用、寝装用、資材用として使われる。

呼び方(番手)

麻番手・麻糸1ポンド(約453.6Kg)で長さが300ヤード(約274.3m)あるものを1番手とする。

麻番手は「1/20」などと記載し、1は撚りの本数、20は麻番手となっている。

1本よりは単糸(たんし)、2本よりは双糸(そうし)と読んでおり、「1/20」だと「麻番のにまるたん」と読んでいる。

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製造方法

麻は種類によって利用できる箇所が異なり、茎の下部組織を利用する種類(じん皮繊維)と葉の葉脈などから得る種類に分けることができます。

亜麻及び苧麻では60~75%のセルロース分を含んでいるといわれています。

麻(じん皮繊維)のセルロースは平均重合度は9550程度となります。

染色に関する事項

麻などのセルロース繊維は直接染料(直接染法)を用いていましたが、染色した色の落ちやすさが問題となることが多いため、強固な共有結合を基本とする反応染料を現在では用いることが多くなっています(反応染法)

一般に用いられる染料

  • 反応性
  • 直接
  • バット
  • ナフトール