天然繊維

天然繊維の歴史は文明の歴史とも言えます。

石器時代では人々は狩猟生活を営んでいたところから、獣の毛皮が身にまとう素材として主でしたが、新石器時代を経て世界の主要文明がアフリカ大陸のナイル川流域エジプト文明、チグリスユーフラテス河流域にメソポタミア文明が、インダス河流域にインダス文明が、そして黄河流域に中国黄河文明が成立したころには、各文明にはそれぞれに利用する繊維があったものと考えられます。

麻の原産地は中央アジアから西アジアとされますが、麻布の断片がエジプトの遺跡(紀元前4200年)で確認されていることと併せて、衣料として使用が始まったのはエジプトとする説が多いようです。

綿は、メキシコ、ペルー及びアジアを原産地とし、それぞれの土地で紀元前3500~2500年ころの綿の繊維片の出土が確認されています。
網は、紀元前2640年ごろ、すでに中国に養蚕の技術があり、日本へは西暦200~207年ころに、朝鮮を経て伝えられたとされています。

西洋に伝えられたのは3世紀ごろで、羊毛は中央アジアを発祥の地とする説が有力で、メソポタミア(バビロニア)で毛織物が巻衣として使われていたとされ、更にエジプトに伝わったとされます。ここでは羊を改良し、紀元前にすでに細く長い毛をもつ羊が登場したといわれています。

エジプトで紀元ころの羊毛のつづれ織り断片が出土しており、天然繊維は麻や綿などの植物繊維と絹や羊毛のような動物繊維に分けられますが、いずれも早くから人々に利用されてきました。

衣料用天然繊維の種類

分類 繊維名 長  所 短  所






綿 丈夫、吸湿性が良い、熱に強い、染色、洗濯性が良い。 しわになりやすい。収縮しやすい。
強い、吸湿性光沢に富む。シャリ感、涼感がある。 硬く弾性に乏しい。しわになりやすい。均一に染めにくい。



弾性があり、かさ高、吸湿性が大、撥水性がある。しわになりにくい。 弱い。フェルト化する(縮む)、ピリング大。虫害を受ける。
しなやかで、ドレープ性がある。吸湿性に富む。優雅な光沢がある。 日光で黄変、劣化する。摩擦に弱い。染色堅牢度が低い。虫害を受ける。


テンセル 丈夫、吸湿性に富む。熱に強い。レーヨンより水に強い。ソフトでドレープ性がよい。染色性がよい。 染色時、バイオ加工による分繊処理が必要。収縮しやすい。